ペンギンブックカフェ

アクセスカウンタ

zoom RSS 雨の日は傘があるから

<<   作成日時 : 2014/09/11 19:04   >>

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

 傘も用をなさないような雨が降っています。いろいろなところで被害が出ているようで、こんな安全なところでしょうもないことを呟いていていいのか、なんてことを考えてしまう。目の前の水たまりをひょいと避けて通って「よかった」って安心して笑ってちゃダメなんだよなぁ。いろいろな面でさ。

『うたうひと』小路幸也(祥伝社文庫)再読
  * * * * * * * * * * * * * *
――「百獣の王じゃないか。光栄だ」人気バンドのドラマー、崎谷貫太はその風貌から“笑うライオン”と呼ばれている。ある日人づてに、母親が倒れたことを知った貫太は、十年ぶりに勘当された実家を訪れることに。母親に嫌われていると思っていた貫太だったが、実家で驚くべき光景を目にする(「笑うライオン」)。誰もが持つその人だけの歌を、温かく紡いだ傑作小説集。
  * * * * * * * * * * * * * *
 小路さんの新作を読み終えると、何故かもっともっと「小路ワールド」に浸っていたいと思えてきて、旧作を引っ張り出してきては読み直すという繰り返しなのです。ほとんど中毒といってもいい症状です。

 唐突なのですが、小路さんって「時間」の使い方のうまい人ですね。この作品集を読んで読み違えかもしれないけれど、そんなことを思いました。お話の中の時間の流し方が独特なんですよね。過去を語りながら突然今に到ったり、登場人物それぞれに流れる時間が離れたりくっついたり交差したり。いい話なんだなぁ、全て。まいっちゃったなぁ、今回も。

『つむじダブル』小路幸也・宮下奈都(ポプラ社)再読
  * * * * * * * * * * * * * *
――本邦初!? 人気作家二人がつむぐ話題の合作! 小路幸也が兄の視点、宮下奈都が妹の視点で描く、家族の「ひみつ」の物語。小学生のまどかと高校生の由一は、年の離れた仲のよい兄妹。ふたりとも、つむじがふたつあり、お母さんは「つむじダブルは幸運の証」と子どもたちに話している。ある日、まどかがひとりで留守番をしていると、ひとりの女性から電話がかかってきた。お母さんは知らないひとだと言うのだけど、なんとなく様子がおかしくて−。兄妹それぞれの想いが胸に響く、やさしい家族の物語。
  * * * * * * * * * * * * * *
 一部で問題作と囁かれた作品の再読(あくまでも一部で)。
 再読して思ったのですが、これって、なかなかに考え抜かれた作品ではないかと…。惜しむらくは、合作という形を取っていながら、片方の作家の世界観に片寄りすぎたお話になってしまったかなぁということ。もう少し二人の個性のぶつかり合いみたいなものが見たかった。なぁーんてね、「つむじダブル」のペンギン店長のつまらない呟きでした。

『エンドロール』鏑木蓮(ハヤカワ文庫JA)読了
  * * * * * * * * * * * * * *
――映画監督になる夢破れ、故郷を飛び出した青年・門川は、アパート管理のバイトをしていた。ある日、住人の独居老人・帯屋が亡くなっているのを見つけ、遺品の8ミリフィルムを発見する。映っていたのは重いリヤカーを引きながらも、笑顔をたやさない行商の女性だった。門川は、映像を撮った帯屋に惹かれ彼の人生を辿り、孤独にみえた老人の波瀾の人生を知る。偶然の縁がもたらした温かな奇跡。
  * * * * * * * * * * * * * *
 ずっと気になっていて、読みたい読みたいと思っていたのですが、今さらの読書となってしまった。結構好きな作家さんなのに、誰かに「どういう作風の作家さん」と聞かれるとうまく答えられない作家さんなんだよなぁ。
 「いいお話です」と簡単に言ってはいけないとは思うものの、テーマの割に少々安易な作りが気になってしまう。遺品のフィルムを見つける過程も、一人の老人の人生を辿る旅の話も、偶然の重なりだし掘り下げ方が中途半端だし、すべてが予定調和でしかないような気がするのです。もっともっと深く苦しく重いテーマだと思うのですよ。違う書き方があったんじゃないかなぁ。(もったいない。77点)

『想い出あずかります』吉野万理子(新潮文庫)読了
  * * * * * * * * * * * * * *
――子供たちしか知らない秘密。岬の崖の下に石造りの家があって、魔法使いが「おもいで質屋」を営んでいた。想い出を担保にお金を貸してくれるという。でも二十歳までに取り戻さないと想い出は返ってこない。中学生の里華は、魔法使いと出会ってすっかり仲良しになり、共に青春の季節を駆け抜けてゆく。やがて二十歳を迎えた時…。きらきらと胸を打つ、あの頃が蘇る魔法のストーリー。
  * * * * * * * * * * * * * *
 時々こういう物語を読みたくなるんですよねぇ。

 これって、きっと本当の話なんだと思う。こういう「おもいで質屋」は本当にあったんだと思う。大人って忘れるから。子供だった時の楽しいおもいでや悲しいおもいで、大事なことや大切にしていたこと、傷ついたことやみんなと笑いあったこと、そんなことすべて忘れてしまうから。そんなお話でした。(熱くなってしまった。79点)

(夢中になっていること)
 今月は「“恩田陸”さんを読み直す月間」実施中。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
ナイス ナイス

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
雨の日は傘があるから ペンギンブックカフェ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる